月だけが笑っている。満月だ、人の醜さをすべて照らし出してしまいそうな、眩しい鮮やかな満月だった。
『助太刀するぜ!』
『裏で牢人たちを操っているのは、』
『佐々木小次郎だ!ヤツに間違いはない!』
『分かるのか、宮本武蔵』
『俺だから分かるんだ。そういうあんたは誰だ、福島正則か?浅野幸長か?』
『真田幸村だ』
『お、まえ、こんなとこに居て大丈夫なのか?』
『大丈夫ではないが、大事ない。それに、家康公はすぐにこの場から脱出するはず。別段、そなたが気にする必要はない』
『家康は清正が討ちに行った。逃しはしねぇよ』
『いや、取り逃がす。家康はそこまで甘くはないし、清正どのはそこまで冷酷になれない』
『なら、どうして助太刀に行かない?お前、それでいいのか?』
『いいも悪いもない。この借りは、戦場でお返しすればいいだけだ』
『戦は回避できるんじゃあ、』
『元から、その道は既に失われている。ほらほら、もう無駄話はなしだ。わたしは清正どのの救援に向かう。宮本どのは秀頼さまのもとへ、』
『武蔵、だ、幸村』
『……承知した、武蔵。秀頼さまのことは頼んだぞ』
『当然だ。お前も、清正のこと頼んだぜ』
二条城救出戦だいじぇすと(…) いつか、ちゃんとした話にしたい。でもそうすると、幸村が最低な人になる。あ、いつもですか、そうですか、そうですか。
10/02/28