豊臣家に人質として大阪に居た時の幸村の立場を考えてみた。 大阪城


秀吉とねね、三成や清正、正則といった面々が、家族団欒よろしく、広間で談笑をしている時だった。閉められた障子の向こうから、失礼します、と声がして、障子が開かれた。幸村は一礼して、部屋へと入った。秀吉、ねね、へと順々に茶を置いていく。そして自然な動作で失礼しました、と退室しようとした。ねねはそんな幸村にちょっとこっちにおいで、と手招きをした。幸村はこの場の空気に参加する気はなかったのだが、ねねどころか秀吉まで手招きをし出すものだから、再び一礼をして上座に近付いた。

「幸村はホント、気の利く子だねぇ。男にしとくの勿体無いよ。」
「そうじゃの〜、女子だったよかったんじゃがの〜。」
幸村を前に、二人は好き勝手に語り出した。
「器量はいいし、綺麗だし、優しいし。」
「幸村は健康そのものじゃし、きっと元気の良い赤子が産めるじゃろう。」
その言葉に、後ろで話を聞いていた三成が盛大に噴き出した。幸村は二人の視線から逃れたくて、だ、だいじょうぶですか、三成殿!と懐から布を取り出し渡す。すまない幸村、と受け取りながらも、三成は幸村が直視出来ない。その様子をからかいを含んだ目で清正と正則が眺めていたが、三成は知らぬ振りを通した。
秀吉とねねは三成の様子に顔を見合わせて密かに笑った。幸村は背を向けているし、三成はそれ所ではないから気付かなかった。
「もし幸村が女子じゃったら、三成の嫁にぴったりだったんじゃがの〜。」
「あ、あたしも同じこと思ったんだよ、お前さま!三成みたいな難しい子には、幸村みたいによく気が付く子がいいよね!」
残念じゃの〜、残念だねぇ。二人はそう言って笑い合った。幸村はこれ以上自分が話題にされることが耐えられなくなって、そそくさとその場を後にしたのだった。





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三成は妄想が激しいとおも(略)
三成がからかわれるのって、すごく可愛いと思いました。
女体化の話をいつか書きたい。
06/06/11