『 相 克 真 田 戦 記 』の最初ら辺で真田兄弟についての一考察。真田さんちの太平記が基本なうちの幸村(信繁?)だとこうなる。ネタだけ拝借して、捏造しました。
「上田の城が落ちるに伴い、真田安房守様を真田伊豆守様が討ち果たされたと」
「まさか」
そう思わず呟いてしまったのは、供に連れていた穴山小助であった。幸村は瞠目をして、静かにその言葉を飲み込んだようだった。小助はその情報をもたらした商人に、掴みかからんばかりの勢いで身を乗り出した。「小助、」と幸村は小助の行動を小さく諌めたが、小助は気付かぬ振りをした。
「なにかの間違いでしょう!」
「そんなことはありませぬ」
更に言い募ろうとする小助の肩を、幸村がそっと叩く。すごすごと引き下がる小助に、商人の顔にも安堵が浮かんだ。
「落ち着きなさい小助。この者を責めても仕方がないだろう」
「しかし幸村様、」
「小助」
「ですが、わたしは納得できません。何故信幸様が、」
小助の当然の問いに、幸村は小さくため息を吐き出した。一瞬だけ、懐かしむように目を細める仕種は、小助もよくよく知っている。
「真実、兄上が父上をお討ちになったとしても、わたしはちっとも不思議ではないよ。それは父上が兄上を怒らせてしまったわけだし、父上が兄上にそうするように仕向けたからだろう。兄上もわたしも、父上の手の平で踊っているだけの兄弟であったのなら、父もどれだけ御しやすかっただろうね」
そうか、父上はお亡くなりになられたか。
小さくそう呟いた幸村は、悲しげに寂しげに目を閉じた。
「さぁ、ではわたし達は、父上の仇討ちを口実に、好きにさせてもらおうじゃないか。兄上も、それをお望みだ」
***
うちの幸村には誠実さが足りない(…)
09/04/13