注意!
BASARA佐助+無双幸村の話です。BSR幸村と区別したかったので、佐助は幸村のことを『若』と呼ばせています。トリップものじゃなくって、根っからの主従関係な二人です(説明がひどい)
OKだぜ!って方はスクロールしてください。





















 幸村は護衛に佐助を連れて、二人きりで戦後の原っぱを歩いていた。山に囲まれたその平原は、大軍同士の戦には窮屈に思えた。あの山には○○殿の旗指物が、こちらの山には○○殿が、などとそらんじれば、佐助が唐突に手を握ってきた。どうした?と振り返るより先に、佐助はさっさと手を離してしまう。そのまま幸村を追い越して立ち止まった。丁度戦場の真ん中、おそらくは、開戦の合図となった宇喜多軍・福島軍の境目だったに違いない。





ぼくは半神(デミゴッド)に恋をする







 足を止めた二人は、ただ無言でその場の佇む。佐助が気付かれぬように振り返れば、主は無表情を貼り付けたまま、目を閉じて直立していた。叫び出したいのだろう、泣き喚いて、慟哭して、感情に任せてこの平原を思い切り走り回りたいのだろう。佐助の耳は、主の握り締められた拳が、ぎりぎりと唸っている声を敏感に受け取った。佐助はそんな主の姿を見ないようにさっと顔をそむけて、己の手の平を見つめた。佐助は咄嗟に握ってしまった主の手の感触を思う。条件反射で彼の自傷行為を止めてみたものの、こんな場所に連れてきておいて、果たしてあの行動に意味があったのだろうか。

 佐助は常々、己と幸村の間にある、主従関係という言葉を考える。忍びが主君に抱く忠誠は武士のそれとは異なっていたし、また、幸村が佐助達忍びに許容する関係もまた、どこか特殊なものであった。もちろん、突き詰めると、幸村の為に死ぬことこそが忠義の極みなのだろうし、その結論に異論はない。ただ、この主の為に死ぬ、とはどういうことなのかが、佐助には未だぼんやりとした輪郭でしか見ることが出来ない。それはきっと、この主も同じだろう。戦場で主を庇って息絶えるのは、案外に容易い。そう、容易いのだ。だが、それを幸村は望んでおらず、佐助もそんな呆気ない忠義心を持っているわけではない。未来永劫、幸村が生きている限り、佐助は彼に尽くさねばならない、尽くすべきなのである、尽くして差し上げたい。そう思っている。

 たとえば。たとえばの話だ。この場で主と共に心中することも、一つの忠義の形ではなかろうかと佐助は愚かな妄想をする。あの主の横顔を見たか。あの、あの、未だかの人の死を現状を理解できず、戸惑いともどかしさから不安に襲われ、焦りばかりが先行して、その衝動のままにこうして主には毒にしかならない戦場へ赴く、主の困惑ときたら、



「さようなら、」
 佐助の利き過ぎる耳が、幸村の声をしっかりと拾い上げた。先程までは、ぼそぼそと独り言だったのに、その一言だけはいやにはっきりと聞こえた。佐助が思わず思考を止めてしまう程に。
「さようなら、三成どの、」
 佐助は勢いよく振り返ったが、幸村は佐助に横顔を見せてくれるだけで、視界に映してはいなかった。未だ現状を理解できずにいる主は、まだ悲しむことが出来ないようだった。事実だけが先走っていて、余計に幸村の感情を混乱させている。
(いっそのこと、)
 この場で果ててしまおうか。胸中の独白は、現実味を帯びて己に降りかかった。この先、生きていてもこの主には辛いことばかりのように思えて仕方がない。身の内に入ってきたものには無防備になる幸村だ。大切なものが増えすぎてしまった、許容するものが、分相応を超えてしまった。自分たちは、小さな世界で小さな夢を追い掛け続けていれば、それでよかったのに。ああ、そんな思いをするならば、いっそ、

「佐助、」

 声と共に、ようやく幸村がその瞳を佐助に向けた。佐助は無意識は中途半端に持ち上げていた腕を慌てて降ろして、必死に笑顔を作った。敏い主は佐助の内心まで感じ取ったのだろうか。そんなことを考えさせてすまない、そんな業の深いことを、お前に決意させてすまない。そう言われるのがこわくて、佐助はこの場には不釣合いな笑みを浮かべた。これで幸村の苦笑が一つもらえれば、それで万々歳、佐助の逃げは成功したと言える。
 けれど幸村は、佐助の期待した苦笑すら漏らすことなく、すまない、と小さく呟いて、佐助の身体を引き寄せた。佐助の頭を胸に抱き込むようにして、ぽんぽんと佐助の背を撫でる。同じぐらいの背丈であるから、この体勢は佐助には苦しかったが、それ以上に次に吐き出された主の声の方が何倍も苦しくて、佐助はどこが痛いのか分からなくなってしまった。



「大丈夫、だ。わたしが死ぬ時は、お前をちゃんと連れて行くから。だから、そんな、泣きそうな顔をするな。」


(違うよ、違うよ。俺が不安になるのは、若が不安になった時で、俺が悲しくなった時は、若が悲しいって呻いてる時で。俺が泣きそうな顔をしてるのなら、若が泣きたいのに泣けないからなんだよ。)


 しかし佐助は、己の心を吐露せず、まるで嗚咽を堪えるように、主に身を任せるのだった。
















うちのBSR佐助は、メンタル面がちょっと弱いです。幸村の方が頑丈に出来てます。これで幸村もなよなよだったら、BAD END 鬱モードに突入ですが、そこら辺は鈍く出来てるので大丈夫です<
と、言い訳してみました。曲でリクエストもOKですよ!と大見得切ってみたものの、難しかったです。初めて聞く曲だったので先入観なく歌詞は消化できたかなぁと思います、が、解釈はもとより、一つの単語とっても人それぞれ受ける細かな印象は違うと思うので、途中開き直って自由に書いてました。あと、メロディとか歌い方とかで、同じ歌詞でも結構イメージ変わりますよね。大雑把に言うと、後ろ向いてるけど、頑張って一歩を踏み出そうとしてるような感じを受けましたので、そんな感じになりました(…)
私の我が儘に付き合って頂いたような感が強い話になっちゃいましたが、少しでもイメージしていたものを感じて頂ければ幸いです。リクエストありがとうございました!
09/01/10